製造業で生成AIをどう使う?現場で始めやすい見積書集計の自動化を解説

製造業で生成AIをどう使う?現場で始めやすい見積管理の自動化を解説
「生成AIに興味はあるけれど、製造業の現場でどう使えばよいかわからない」そのような声をよくいただきます。
そこで、最初の一歩としておすすめしやすいのが、見積管理の自動化です。
見積書の整理や比較、転記といった業務は、手作業が多く、属人化しやすく、しかも日常的に発生します。生成AIを活用すると、このような業務を効率化しやすくなります。

監修者
中小企業診断士 清水誠太
岐阜県出身。株式会社シミセーの代表取締役。Setchan製造業ブログの運営者。元大手メーカーの調達バイヤー、調達戦略のITシステムの技術営業として6年間勤務。その後、独立して製造業コンサルタントとして中小企業様を伴走支援。YouTubeチャンネルも公開中!
本記事では、製造業における生成AI活用の入口として、なぜ見積管理が向いているのか、どのように進めればよいのかをわかりやすく解説します。
こちらの動画でも解説しております!
なぜ製造業で生成AI活用が進みにくいのか
製造業で生成AIに興味を持つ企業は増えていますが、実際には「何から始めればよいかわからない」という段階で止まっているケースも少なくありません。
理由のひとつは、生成AIでできることが広すぎることです。
文書作成、要約、検索、分析、表の整理、社内ナレッジ活用など、使い道が多いからこそ、自社ではどこに当てはめるべきか判断しにくくなります。
また、製造業の現場では日々の業務が忙しく、AI導入の検討自体に時間を割きにくいという事情もあります。大きなシステム導入のように見えてしまうと、現場の負担感も強くなり、前に進みにくくなります。
だからこそ重要なのは、小さく始めて、効果が見えやすい業務から試すことです。
その入口として、見積管理は非常に相性のよいテーマです。
実は私も東芝のバイヤ―時代に、価格査定ツールを機械学習を使って制作しておりましたが、当時の課題が生成AIを使うことで解決できてきております。
元東芝インフラシステムズ株式会社の清水誠太の記事はこちら

見積管理は、生成AIと相性がよい業務
見積管理の業務では、複数の仕入先から見積書が届きます。
しかも、PDFの形式や記載方法、レイアウトは仕入先ごとに異なることが多く、比較の前にまず情報整理が必要になります。

たとえば、次のような作業です。
① PDFの見積書を開いて内容を確認する
② 品目名、数量、単価、金額をExcelに転記する
③ 複数社の見積を並べて比較する
④ 過去見積と見比べて価格差を確認する
⑤ 社内向けに比較表や交渉材料を整理する
これらは、一つひとつは難しい作業ではないものの、手間がかかりやすく、転記ミスや見落としも起こりやすい業務です。
生成AIは、このような文書から必要な情報を抜き出して整理する業務と相性がよく、現場でも試しやすい領域です。特に、見積書のように「毎回似た作業が発生する」「人が読めば理解できるが、整理に時間がかかる」業務では効果を実感しやすくなります。
生成AIを使った見積管理の流れ
見積管理の自動化といっても、最初から大がかりな仕組みを作る必要はありません。
まずは、生成AIを使って一次整理を効率化するだけでも十分です。
見積書のPDFをまとめる
まずは、複数の仕入先から届いた見積書PDFをまとめます。
今回は生成AIの中で、Claude(クロード)を使用しておりますが、Copilotなどでも可能です。(特定のフォルダにアクセスできる必要があります)
まずは直近1か月分、あるいは3か月分など、範囲を決めて試すと効果を確認しやすくなります。

必要な情報を一覧化する
次に、見積書から必要な情報を抜き出します。
たとえば、以下のような項目です。
- 仕入先名
- 品目名
- 規格・型番
- 数量
- 単価
- 金額
- 納期
- 備考
これまでは人が見てExcelに入力していた内容を、生成AIでたたき台として整理できるようになります。下記のようなExcelに1~2分で変換することができます。(ほぼOCRの誤読もなし)

比較しやすい形に整える
一覧化した情報をもとに、仕入先別、品目別に比較しやすい表へ整えます。
この段階まで進むと、単なる転記作業ではなく、どこに価格差があるのか、どの品目を優先して確認すべきかが見えやすくなります。

交渉や判断に使う
最終的には、整理した見積情報を交渉や意思決定に活かします。
価格差の大きい項目、継続的に上昇している単価、調整余地がありそうな条件などを見える化できれば、購買や調達の判断スピードも上がります。

見積管理を自動化するメリット
生成AIを使った見積管理の自動化には、いくつかの明確なメリットがあります。
手入力の負担を減らしやすい
見積管理では、比較の前に情報整理が必要です。
この下準備に時間がかかるため、本来時間をかけるべき比較・判断に十分な時間を使えないことがあります。
生成AIを活用することで、一次整理の負担を減らしやすくなります。
転記ミスや見落としのリスクを下げやすい
人が手で転記する業務では、どうしても入力漏れや読み違いが起こります。
生成AIを使えば完全にゼロになるわけではありませんが、たたき台を早く作れるため、確認作業に集中しやすくなります。
比較や交渉の質を高めやすい
作業時間が減ると、その分だけ比較や交渉の準備に時間を使えます。
結果として、「どの仕入先と、どの条件を、どう相談すべきか」という本質的な判断に時間を回しやすくなります。
小さく始めやすい
見積管理は、現場全体の業務フローを大きく変えなくても試しやすいテーマです。
そのため、「まずはAIを一部業務で試したい」という企業に向いています。
導入時に気をつけたいポイント
見積管理に生成AIを使う際には、いくつか注意したい点もあります。
まず、最終確認は必ず人が行うことです。
PDFの状態や表記ゆれによっては、読み取り内容に差が出ることがあります。生成AIはあくまで整理の補助として使い、最終判断は担当者が行う前提が大切です。
次に、機密情報の取り扱いです。
見積書には単価や取引条件など重要な情報が含まれます。利用するツールの情報管理方針や運用ルールは、事前に確認しておく必要があります。
また、最初から完璧を目指しすぎないことも重要です。
100点の自動化を目指すより、まずは「一覧化が少しラクになる」「比較表づくりが早くなる」といった小さな改善から始める方が定着しやすくなります。
製造業の生成AI活用なら株式会社シミセーにご相談ください
「自社では何から始めるべきかわからない」
「見積管理の整理にAIを使えるか試してみたい」
「現場に無理のない形で導入したい」
そのようなお悩みがあれば、株式会社シミセーまでご相談ください。
シミセーでは、製造業の現場に寄り添いながら、生成AIの活用テーマ整理、業務への落とし込み、実務に合わせた進め方の設計まで支援しています。
最初から大きく導入するのではなく、まずは見積管理のような始めやすい業務から、一緒に整理していくことも可能です。
製造業での生成AI活用を、現場に合った形で進めたい方は、お気軽にお問い合わせください。
